つぼみ、ほころぶ
「仲いいグループでね、あたしの友達の彼氏が温泉サークルの会長で、六人で、今日、旅行のはずだったんだ。……でも行ったのは四人。さすがに、カップルの中で独りはね……」


ひとりがキャンセルしたら、あたしだってそうしなきゃいけない関係だった。


「チイと、チイの元彼がキャンセルってとこか」


「……うん。みんなは、あたしだけでもいいって言ってくれたけどね。元彼以外は、中学からの友達だったし」


「けど行きづらいよな。それは」


「うん。キャンセル料は必要だし、ほんと残念だった」


「……残念なのは、どの部分だったんだ?」


その眼光は鋭く、ユウちゃんは少し怒った顔で訊ねてきた。
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