つぼみ、ほころぶ
嫌悪感や込み上げてくる嘔吐感。あらゆる負の感覚が、そういう空気を感じると襲ってきた。


「だから、あたしもちょっと雑誌なんかで予習してみたり、それなりに覚悟を、決めたんだ」


……でも、もうその時の決断は遅かったらしい。


「覚悟した日にね、振られちゃった」


あたしが信じられないと言われた。自分を本当に想ってくれているのかと。


最後の言葉は……


「他に好きな子がいるって。その子とはもうそういうの全部してて、何も不安を感じないって。……っていうか、あたしの裸見て感じてたことって、ただの欲求だけだったまで言い始めて、挙句の果ては……決心してきたんなら、せっかくだからしとく? って……」


もう、好きなのかも分からなくなった。


気持ちが一瞬で冷めてたのかもしれない。あの時の元彼の顔には、あたしに対する愛情なんてものは微塵も無かった。
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