ため息をついた日
表情はまだ固かったけれど、諒哉の目をしつかり見て頷いた。
「新しい仕事の話をしたけど、シフトはかなりゆったり組んでもらうことになってる。しかもしばらくは試用期間だから給料も良くない。まだまだ優愛に迷惑かけると思うんだ。」
シフトのことは聞いていたし、試用期間のことも当然だと思うので、特に驚くようなことはなかった。
驚いたのはその後だ。
「必ずまた、ちゃんと働けるようになる。約束する。だからそうなれた時、俺と結婚して欲しい。」
「えぇっ!」
諒哉の顔は照れた時のお決まりで少し赤く、でも目は真剣だった。
別れる、別れないの話をしているつもりだったのに、最悪な日だったはずなのに、こんな言葉が聞けるとは思っていなかった。
優愛の顔はまたみるみる涙で歪んでいく。
「だめ?」
少し心配そうに顔をのぞきこむ諒哉。
優愛は涙を拭いながら大きく首を振った。
「だめ、じゃないっ!っっすごい、うれし…っっ!」
それを聞くと満足そうに笑い、ポケットから何かを取り出した。
「これは、約束の約束な。」
優愛の右手を取ると、薬指に指輪をはめた。
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