ため息をついた日
駅前の反対側、少し離れた所に優愛のお気に入りのカフェがある。そこへ行くことに決め、信号が変わると足早にむかった。最近は生活が優先で、そんなちょっとした楽しみも我慢していたのだけれど。
暖かい店内は、それだけで気持ちも少し温まる。
夕飯時に軽食が主なカフェは人影もまばらで、優愛は一番奥の席に座ることができた。店の外から見えないその席は、お茶を飲みながら本を読んでいても人目が気にならないので、空いていれば好んで利用していた。
シナモンの入った甘いミルクティーを頼むと、やっとほっと息をついた。
ミルクティーがくると、優愛はあれっと思い店員を見上げた。小さくカットされてはいたけど、頼んでいないチーズケーキが一緒に運ばれてきたから。
「あの、これ…」
戸惑いながらたずねると、
「今試食としてお出ししているんです。宜しければどうぞ。当店の人気メニューですから。」
優愛より少し年上に見える男性店員は、爽やかな笑顔でそう言うと「どうぞごゆっくり。」と下がっていった。
ここのチーズケーキが美味しいのは知っている。以前よく来ていた時は必ず一緒に注文していたから。
小さなケーキをさらにフォークで小さくして口に運ぶ。濃厚だけれど、さっぱりとした甘さのチーズケーキが口の中に広がる。
(やっぱり美味しい…。)
なかなか来れなくなって直ぐの頃は、この味を真似して自分で焼いてみたりもした。美味しく出来たものの、当然同じ味にはならなかった。最近は自分で作る気力も無かった。
暖かい店内は、それだけで気持ちも少し温まる。
夕飯時に軽食が主なカフェは人影もまばらで、優愛は一番奥の席に座ることができた。店の外から見えないその席は、お茶を飲みながら本を読んでいても人目が気にならないので、空いていれば好んで利用していた。
シナモンの入った甘いミルクティーを頼むと、やっとほっと息をついた。
ミルクティーがくると、優愛はあれっと思い店員を見上げた。小さくカットされてはいたけど、頼んでいないチーズケーキが一緒に運ばれてきたから。
「あの、これ…」
戸惑いながらたずねると、
「今試食としてお出ししているんです。宜しければどうぞ。当店の人気メニューですから。」
優愛より少し年上に見える男性店員は、爽やかな笑顔でそう言うと「どうぞごゆっくり。」と下がっていった。
ここのチーズケーキが美味しいのは知っている。以前よく来ていた時は必ず一緒に注文していたから。
小さなケーキをさらにフォークで小さくして口に運ぶ。濃厚だけれど、さっぱりとした甘さのチーズケーキが口の中に広がる。
(やっぱり美味しい…。)
なかなか来れなくなって直ぐの頃は、この味を真似して自分で焼いてみたりもした。美味しく出来たものの、当然同じ味にはならなかった。最近は自分で作る気力も無かった。