ため息をついた日
諒哉は顔半分だけを優愛の方へ向けた。
「俺そんなこと言われたの初めて。」
「そう。」
「うん。」
そんな短いやり取りの後、また下を向いてしまった。

優愛は疑問だった。そんなに恥ずかしがる事だろうか。むしろ誇れる才能だと思うのだけど。
そんな優愛の心が通じたのだろうか、諒哉はうつむいたまま少しずつ話始めた。

「俺、長男なんだよ。」
「そうなんだ。」(だから面倒見が良いってことかな?)

「で、ウチの両親すげぇ仲良くてさ。」
「う、うん?」(話、繋がっているんだよね?)

「俺の下に弟や妹が七人いるんだよね。」
「えっ!?な、七人?えぇっ!八人兄弟?」
「そう。すごいだろ?」
(確かになかなか聞かないかも。)

「俺のすぐ下は今、中一で年子が三人続いてるんだ。下の四人はまだちっちゃいんだよ。だから家ん中でやること多くて忙しくてさ、弟や妹たちにあれやれ、これやれって言ってたらこうなったんだよ。」

四人のチビたちはまだまだ手がかかるからさ、なんてため息混じりに呟く様子を見て、思わず
「お父さんみたいだねぇ。」と笑ったら、もっと顔を真っ赤にして優愛の髪をぐしゃぐしゃにした。


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