恋のためらい~S系同期に誘惑されて~
大学時代からの彼は同い年で笑顔の似合う人だった。
付き合って3年が過ぎていたけれど、結婚を意識するにはお互いにまだ若かったと思う。
でも、彼を心の拠り所にしていたのも確かで、まだ見えない未来を彼と照らし合わせてみたり。
そんな仄かな想いを育てていたのは自分だけだったと知ったのは、入社して2年目の夏のこと。
会社に気になる娘がいる、と正直すぎるその彼は全てを話してくれた。
決して里沙が嫌いになった訳じゃないけど、彼女と向き合いたい。
私は、ごめん、と呟く彼の手を放した。
2人の歩いてきた時間が、ひどく脆いものだと思い知らされて。
あの時は早紀が慰めてくれたっけ。
明らかに落ち込んでいる私に声を掛け、時間を作ってくれた。
飲んで愚痴って、そんな私に寄り添ってくれて。
あぁ、でもあいつは違ったなぁ。