恋のためらい~S系同期に誘惑されて~
4.キスの意味
結局、次の日は休みだからと早紀に押し切られ終電近くまで飲み続けた。
秘密主義の早紀にしては珍しく、自分の恋バナを披露してくれた。
意中の男を短期決戦でゲットすると宣言した時の姿は、新鮮で笑えたし。
早紀と色々な馬鹿話をしているうちに、いつの間にかやるせない気分が浮上して、ささくれ立った心の痛みも和らいだ、と思う。
そして、暦通りの3連休に何の予定も持たない私は、日頃決してしないような大掃除を敢行した。
何も考えず体力を使う作業が、今は心地よい。
お陰様でコンロの油汚れも、トイレの便器までピカピカだ。
3日目にはすることがなくなり、クローゼットの洋服まで整理した。
3日間、あまりにも規則正しい休日を送った私は早朝に目覚めてしまい、結果いつもより1時間も早く家を出た。
電車もいつもより空いているし、下りた駅の周りも人通りがいつもより少ない。
この時間の出勤も悪くない……こんなに早く起きられれば、だけど。
コーヒー飲んで行こうかな。
いつもなら会社の自販機で済ますコーヒータイムだけれど、時間に余裕がある今日の私は、会社のビルへ辿り着く途中にあるコーヒーショップに立ち寄った。
そんなコーヒーショップにも、クリスマスソングが流れている。
私は、窓際の空いている席を見付けて腰掛けた。