恋のためらい~S系同期に誘惑されて~
私が務めている友野ソリューションは、オフィス機器のレンタルや販売の他、コンサルティングや情報システムの構築・運用サポートをする会社だ。


情報系の大学を出た私は、運良くこの会社に内定を貰い、情報システム課の一員として働いている。


ただ運良く、と素直に思えるようになったのは、仕事を人並みにこなせる様になった最近の話しで、最初の2年位は辛いことの方が断然多かった。

徹夜明けを栄養ドリンクで誤魔化した日々も数知れず。

入社してから5年目の今でも、クライアントへの納期前などは、死にそうなほど怒涛の日々を過ごす場合もある。

この1ヶ月がまさにそうだった。

確かにデートもままならない日々だったけれど、予定が合えばランチに行ったり、会えない日にはメールしたりと、自分なりに努力したつもりだった。

今となっては虚しいけど。


「永井さんは私の仕事、分かってくれてると思ってた」

「正直、これほどひどいとはね。なんで、そこまでこだわるのかな。男と同じように仕事をしなくても、誰も君を責めたりしないだろ?」

「……男とか女とか関係なく、私は自分の仕事にプライドを持ってるつもり、です」

「里沙が仕事に一生懸命なのって、本当にそれだけの理由なのかな。実際、僕と会う時間は作れなくても、同じ課にいるあの男とは夕飯食べに行ったりしてるんだろ?」

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