恋のためらい~S系同期に誘惑されて~
「里沙はお手洗い、使いなさいよ。顔洗って直して来て」
洗面所を譲られるなんて、きっと相当ひどい顔になのだろう。
私が早紀の指さす方へ歩き出すと、カウンターの中で煙草をふかしながら、雑誌を読んでいたヒロさんと目が合った。
ヒロさんはニヤッと笑って立ち上がると、私の方へ白いお絞りを差し出す。
「見事に泣かされたね。午後からも仕事だろうに」
「早紀の所為じゃないんです」
「少し冷やしてみるといいよ」
わざわざ用意してくれたらしく、受け取ったお絞りはキンキンに冷えていた。
私はお礼を言ってから、微笑みらしきものを浮かべた。
昼休みの時間も終わり近くになってしまい、私が足取りを速めようとすると「ホント生真面目ね」と早紀は笑った。
「そういえば、ナントカ先輩のクリスマスケーキどうしたの?昨日食べたの?」
早紀は私の早足に付き合いながらも、チラリとこちらを覗き込む。
「……冷蔵庫の中。昨日先輩にも変な顔させちゃったし、買っておいて食べないなんて申し訳ないけど、そんな気分になれなくて」
「ご愁傷様」
「その上、仕事は忙しくなりそうだし、今日の夕飯かな」
私が溜息交じりにそう告げると「げっ」と嫌そうな顔をした。
早紀は、私が嬉々としてケーキの話をしても、乗って来た試しが無い。
ケーキの類を殆ど食さないからだ。
洗面所を譲られるなんて、きっと相当ひどい顔になのだろう。
私が早紀の指さす方へ歩き出すと、カウンターの中で煙草をふかしながら、雑誌を読んでいたヒロさんと目が合った。
ヒロさんはニヤッと笑って立ち上がると、私の方へ白いお絞りを差し出す。
「見事に泣かされたね。午後からも仕事だろうに」
「早紀の所為じゃないんです」
「少し冷やしてみるといいよ」
わざわざ用意してくれたらしく、受け取ったお絞りはキンキンに冷えていた。
私はお礼を言ってから、微笑みらしきものを浮かべた。
昼休みの時間も終わり近くになってしまい、私が足取りを速めようとすると「ホント生真面目ね」と早紀は笑った。
「そういえば、ナントカ先輩のクリスマスケーキどうしたの?昨日食べたの?」
早紀は私の早足に付き合いながらも、チラリとこちらを覗き込む。
「……冷蔵庫の中。昨日先輩にも変な顔させちゃったし、買っておいて食べないなんて申し訳ないけど、そんな気分になれなくて」
「ご愁傷様」
「その上、仕事は忙しくなりそうだし、今日の夕飯かな」
私が溜息交じりにそう告げると「げっ」と嫌そうな顔をした。
早紀は、私が嬉々としてケーキの話をしても、乗って来た試しが無い。
ケーキの類を殆ど食さないからだ。