恋のためらい~S系同期に誘惑されて~

自分で作ったホームページの、それも先輩に笑顔で予約してしまったクリスマスケーキの写真をじぃーっと見る。


今更、キャンセルは申し訳ないよね。

せめてもう少し小さいのにしておけば良かった。



妙に浮かれて注文した先月の自分を恨めしく思っていると、背中に人の気配を感じた。



「めずらしいな、タマ。社食行かねーの?」

私の荷物置き場と化している隣の机に、笹山基樹(ささやまもとき)は腰かけた。

笹山は私をタマと呼ぶ。

以前は、猫みたいに呼ぶなと怒っていたけれど、近頃に至っては気分が乗っている時ならば、ニャーと返事をくれてやることもある。


「……書類踏まないでよ」

「汚ったねー机だな、少し整理しろよ」



奴は綺麗な顔のくせに、非常に口が悪い。

笹山は社内でも人気の高い、俗にいうイケメンだ。

180cmを余裕に超えている身長。

一見近寄りがたい感じがする程の整った顔立ちも、笑った時に少し下がる目尻で、殆どの女性社員は殺(や)られてしまうらしい。
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