恋のためらい~S系同期に誘惑されて~
「早紀、ごめん。いつも自分のことだけでテンパってて」

『皆、自分が一番悩んでるって思ってるものよ。……ね、それよりも、笹山に伝えて。この間渡したクリスマスプレゼント役に立ったでしょって』

「プレゼント?」

私はそう呟きながら、笹山を見る。

笹山は床に落ちていた小箱のようなものを、私の方にポンッと放り投げて来た。

「こ、これぇ?!」

それはそれは、確かに数時間前にお世話になったアレ……。

『私の友人がセクシーグッズのお店やっててね、良さそうなのプレゼントしたってわけ。他のが御所望なら、お店紹介するわよ。因みに通販もやってるみたいだし』

「そんなに要らないわよっ」

『もう、相変わらず照れ屋なんだから。まっ、笹山ならそんなの必要なさそうだもんね。積年の鬱憤が溜まってそうだし』

早紀は悪びれる様子もなく言い放つ。

そして一頻り私を弄り倒した後に、良いお年を、とだけ言って電話を切った。

「か、からかわれただけだった……」

笹山は肩を竦めて、2本目の煙草に火を付ける。

「お前のこと弄るの大好きだからな。そこだけは成瀬と意見が合った。……でも、あいつのアドバイスは確かだったから、一応感謝はしておくか」

「アドバイス?何の?」

「あの男に本当に盗られたくないなら、お前の周りに張り付いてろってさ」

そのアドバイスって……。

私はあんぐり口を開けて笹山を見詰めた。

笹山は私の間の抜けた表情に、口角を上げる。
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