私のファーストキスもらって下さい。




「鈴、これ美味しいよ。はい!」



「うん、ありがと…」




えみんちのご飯がこんなにつらい日は、初めてかもしれない。



前の席に座る早紀さんは、高らかに笑ってる。



時折、隣に座る誠二くんにくっついてみたり、口許についたご飯粒をとってあげたり…



恋人同士の2人を目の前にして、私は平気でご飯を食べたりなんて出来なかった。




「ごちそうさまでした。おばちゃん、今日も美味しかったよ!」




あんまり食べてないけど、こんなに沢山ご馳走作ってくれたおばちゃんにちゃんと感謝。




「鈴、もういいの?」



「うん。えみ!私先に部屋行ってるね。」



「え、ちょ、待って。」




いつもみたいに遅くまで食べていない私を不思議に思ったのか、えみもご馳走さまをして部屋へ上がった。




ふと、早紀さんと目があった。



ーーーーーーっ。。



気のせい。そう思いたい…



不敵な微笑みだった。





< 100 / 171 >

この作品をシェア

pagetop