私のファーストキスもらって下さい。
「鈴、これ美味しいよ。はい!」
「うん、ありがと…」
えみんちのご飯がこんなにつらい日は、初めてかもしれない。
前の席に座る早紀さんは、高らかに笑ってる。
時折、隣に座る誠二くんにくっついてみたり、口許についたご飯粒をとってあげたり…
恋人同士の2人を目の前にして、私は平気でご飯を食べたりなんて出来なかった。
「ごちそうさまでした。おばちゃん、今日も美味しかったよ!」
あんまり食べてないけど、こんなに沢山ご馳走作ってくれたおばちゃんにちゃんと感謝。
「鈴、もういいの?」
「うん。えみ!私先に部屋行ってるね。」
「え、ちょ、待って。」
いつもみたいに遅くまで食べていない私を不思議に思ったのか、えみもご馳走さまをして部屋へ上がった。
ふと、早紀さんと目があった。
ーーーーーーっ。。
気のせい。そう思いたい…
不敵な微笑みだった。