私のファーストキスもらって下さい。




ーーーーーーー



「鈴、気分悪い?」



「ううん。
ごめんね、お腹いっぱいだったの。」



「そう…?ならいいけど…」




えみの部屋でモフモフのクッションを抱きしめる。


微かに聞こえてくる1階からの早紀さんの笑い声に胸がぎゅっと苦しくなるのを我慢した。




「鈴、あのね…」




同じくモフモフのクッションを抱きしめるえみが口を開いた。



そうだよ、今日はえみの恋の相談に集中しなきゃ。



って思ったら…




「私見ちゃったの!」



「何を?」



「真木先輩が他の女の子と手を繋いで歩いてるの!!」




あれ?高原さんの話じゃない?


真木先輩の話?


ということは、私の話?




勘違いしていた私は、予想外の話の方向にビックリしつつ、えみの話を聞いてホッとしていた。



だって、




「そっかぁ…手を繋いでたんだ。」




きっと、その女の子ってあの子だよね。
ポニーテールのとっても元気で素直でまっすぐで一途なあの子。




真木先輩の幼なじみ、雅ちゃん。



ちゃんと気持ち伝わったんだね。
良かった。ほんとに良かったぁ。




「鈴?怒んないの?悲しくないの?」



「何で?」



「いや、何でって…真木先輩って、鈴の…」




とぼけた私にえみは困ったように諭す。



あ、そうだよね、えみには言ってなかったもんね。




「えみ、ごめん。私、話さなきゃいけないことあったんだ。」



「??」



「私、真木先輩と別れたの。」



「え!?そうなの?」




ビックリして大きく目を見開くえみにちょっと笑って頷くと、“なんだーそれならそうと言っといてよー。ほんと悩んだんだからー。”とカーペットの上に寝転んだ。



本当に悩んでたみたいで、すごくホッとしてるえみ。



そんな親友を見て、すごい悪いことしてたなって反省。




親友に大事なことを言えない私って、
ひどいなぁ。











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