私のファーストキスもらって下さい。
いたずらな仕返し
次の日の朝、私は誠二くんにある仕返しをした。
それはちょっといたずらな仕返し。
「鈴、そのソーセージとこのミニトマト、交換しない?」
「んー、いいよ。」
朝から食欲旺盛なえみの隣で朝ごはんを一緒に食べてると、おばさんが洗濯物のかごを片手にリビングてやってくると…
「えみ、お兄ちゃん起きてきた?」
「えー、知らないよー。
まだ寝てるんじゃないの?
あの男は寝るのが趣味だから。」
私と交換したソーセージにかぶりつきながら、適当に答えるえみ。
確かに誠二くん、よく寝るよね。
寝顔も、カッコイイんだよね、ふふ。
あ、何想像してときめいてんの。
「ちょっと、誰か起こして来て?
仕事遅れるわよって。」
おばさんはそれだけ言うと、洗濯物を干しに庭に出ていく。
おばさん、誰かって。
えみしかいないよ?
「鈴。」
「ん?」
あ、えみ、起こしにいくんだ。
何だかんだ言って、お兄ちゃんに優しいんだから。
「鈴、だって。」
「は?」
「起こして来て?だって。」
「うん。えみ、行きなよ。
誠二くん、遅刻しちゃうよ?」
「いや、鈴、起こして来て。」
「え?」
目が点になってる私にえみは事も無げに言ってのける。
「前にも言ったじゃん。私が起こすと機嫌悪くなるからさ。ほら、私今から2枚目のパン焼かないと。」
「え、でも、」
「ほら、早くしないとホントに遅刻だよー。
行ってきな~。」
「わ、分かったぁ。」
結局負けて、私はリビングを出て2階の階段を上った。
チラッと振り返ると、えみは2枚目のパンを生でかじりながらちょっとニヤケて私を見ていた。
む、えみってば、わざとだなぁー。。
私の好きな人が分かった途端に…もう。。