私のファーストキスもらって下さい。




誠二くんの部屋の前で深呼吸。
ふぅ、何か朝から緊張するよぉ。
あの時みたい。




えみと2人で誠二くんに買い物に連れてってもらったあの日の朝。




あの朝も二度寝しちゃった誠二くんを私が起こしに行った。





ーーーーコンコン…



ドアをノックして見たけど思った通り、
返事はなし。



そっとドアを開ける。
ふわっと大人の香水の香りがした。



一瞬、昨日の早紀さんの香水かと思ってビクッとしてしまった。




でも、違った。この香りは誠二くんがつけてた香水の香り。




爽やかで広い海のような香り…。





「誠二くん…?起きてる?」





声をかけて、ベットを見るとまだぐっすりと寝ている誠二くん。



ちょこちょことベット横まで行って、しゃがみこんだ。



ちょうど寝返りした誠二くんがこちらを向いた。




「…寝顔、やっぱりカッコイイなぁ…。」




思わず、見とれてしまうくらい綺麗でカッコイイ寝顔。



ずっと、見てたい。



って、コラコラ。




「誠二くん、起きて。仕事遅刻しちゃうよ。」




そっと肩を揺らしてみた。




「ん~…」




ダメだ。起きない。


ふと思い出す。
あの日は寝ぼけた誠二くんにベットに引きずり込まれるという何とも大人のいたずらをされたんだ。



ただ横で添い寝の状況だったけど、ホントに心臓が壊れちゃうんじゃないかってくらいドキドキさせられたんだ。




あの時は、ちょっとショックだったんだよね。
何だか大人の余裕?みたいな感じでさ。




何とも思われてないっていうか…子どもみたいな感覚で。




そうだ。



私はスゥースゥーと寝息を立てて気持ち良さそうに眠る誠二くんを見て、思いついてしまった。



仕返しちゃう!









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