私のファーストキスもらって下さい。
「知らなかったのは当然だよ。
だって…必死に隠してたんだもん。」
そうだよ。
誠二くんには早紀さんがいて、気持ちがバレたら誠二くんが困るのは分かってたからさ。
でも、拓さんからしたら私って分かりやすいって言ってた。
それに気づかない誠二くんは、ちょっと鈍感なんだよ。
「ずぅーっと、好きだったんだよ。」
もう言っちゃったから。
何回でも言っちゃうよ。
好きだよって。
でも、思ってた通り。
「ごめんね。」
「何で鈴ちゃんが謝るの?」
だって…
「誠二くん、困った顔…してる。」
ねぇねぇ、
私が好きって言うとやっぱり困る?
「困ってないよ。」
「嘘だよ…困ってる。」
顔を逸らす誠二くんの横顔を見つめて、やっぱり泣きそうになる。
えみとせっかく、この恋頑張ろうねって約束したばかりなのに。
もうダメだよ。。
「誠二くんには早紀さんがいる。
でも、好きって気持ちはどうにもならなかったんだ。だから…この気持ち、伝えられて良かった。」
そうだ。
好きって伝えられただけで、幸せだよ。
いつか忘れられる日が来たとしても、
後悔はないよ。
なんて、1人心の中で整理をつけてると黙り込んでいた誠二くんが不意に…
「ごめん、今まで鈴ちゃんをそういう風に見てなかったから…ちょっと…いや、結構ビックリしててさ、何て言うか…その…」
誠二くんはそこまで言うと、また黙ってしまった。
ありがとう。
もういいよ、誠二くん。
「そうだよね、妹みたいなもんだよね。
大丈夫、私別にいいの。ただ、気持ち伝えられて、良かった。だから、またいつものようにお兄ちゃんみたいに頼るね!」
精いっぱい笑顔。
じゃないと、誠二くんはいつまでたっても困り顔だから。
ほら、いつもみたいに『鈴ちゃん』って優しく笑ってよ。