私のファーストキスもらって下さい。
ーーーーーーーー次の日の朝。
「鈴、私先に学校出るからねー。」
「ん~…」
「遅刻しちゃダメだよ?
ちゃんと、ご飯食べて出なさいよ。」
「ん~、えみ…お母さんみたいだよ~。。」
寝ぼけたまま、えみが一足先に家を出るのを見送った。
そっか、昨日はえみんちに泊めてもらったんだ。
ベットの上で起き上がると、私はふと昨日のことを思い出した。
「宣戦布告…かぁ。」
早紀さんと正式にって言ったら変かもだけど…ライバルになったんだよね。
まあ、早紀さんの方は私なんてどうでもよさそうだったけど。
「あ、私もご飯食べて出なきゃ。」
重い気持ちを奮い立たせるようにして、私は制服に着替え始めた。
そして、下へ降りると…
「…おはよう、鈴ちゃん。」
「お、おはよ。」
誠二くんがカウンター越しにキッチンでコーヒーを飲んでいるのに出くわした。
昨日の今日で何だか気まずいよ。
どうしよ、どんな顔したらいいの?
私がソワソワしていると、
「鈴ちゃん、サンドイッチあるから食べな?
カフェオレでい?」
「う、うん。ありがと。」
いつものように優しい笑顔で話さしてくれた。
席についた私は、いただきますをしてサンドイッチを一口食べた。
「はい。
もっと甘いのが良かったら、砂糖いれて?」
「うん、ありがと。大丈夫。」
「ん。」
私に、カフェオレを手渡した誠二くんはそのまま私の前のイスに座った。
テーブルに肘をつく形で、両手で顔を覆ってしまった誠二くんを見つめていると、不意に誠二くんが顔をあげて私を見た。
「昨日はごめんな。
…ほっぺた、痛かったろ。」
そう聞く誠二くんの顔が何だか痛々しくて…
「大丈夫だよ。誠二くんが謝る必要ないよ。」
「でも…」
「私が昨日早紀さんに言ったことは、私の本音だよ。…だから、その…誠二くんが迷惑だったら…私、」
最後まで言えず、そのまま少し俯くと手にした食べかけのサンドイッチが、少しぼやけた。
宣戦布告しておいて、私何言って…