私のファーストキスもらって下さい。
そして、俺と早紀は別れることで話がついた。
早紀が別れることを拒むような気がしてた俺だけど、そんなの勝手すぎるよな俺。
早紀があまりにもさっぱりと話を終わらせてしまったのが…ちょっと寂しく思ったり。
本当はもっと早く、ちゃんと話すべきだった。
それなのに、俺が曖昧なままでいたから。
鈴ちゃんを泣かせた。
早紀にも嫌な思いをさせた。
全部、俺が不甲斐ないせいだ。
「俺って、本当にダメなやつ。。」
「あら、やっと気づいちゃったの?」
うわっ。いつもの女王様に戻ってる。
「はぁ~。」
「ふふふ、冗談よ。誠二は、顔は良いし仕事も出来るし優しいし、いい男よ。
まぁ、ちょっと鈍感すぎる所がダメね。」
「お前それ、慰めてんの?落としてんの?」
とにかく、早速友達の感覚に戻った早紀にホッとした。
「んじゃ、俺そろそろ帰るわ。」
「ん。」
玄関まで見送りに来た早紀。
「あ、これ、合鍵。」
「ん。」
ーーーーチャリン。
合鍵を受け取った早紀は、暫くそれを手のひらの中で弄ぶと…
「あーあ、旅にでも出ようかなぁ。」
「社長、見張ってないと
すぐ居なくなるんだろ?」
「はは、そうね。暫くは、仕事が恋人かな。」
そう言って笑う早紀につられて俺も笑った。
それから、俺は…
「今まで、色々ごめんな。
でも…お前のこと、ちゃんと好きだった。
本当に、ありがとう。お前なら、俺なんかよりもっといい男捕まえられるよ。」
「ふん。当たり前でしょ?こんないい女ほっとく男がどこにいるのよ。」
「だな。お前、ほんといい女だもんな。」
ただただ、早紀はいい女だった。
素直にそう思ってる。
見た目だけじゃない女性らしい内面も、仕事だって優秀なのは努力してるから。
こんなダメな俺を応援してくれるし。
そんな思ってることをただ言った俺に…
「誠二、あんまり誰にでも優しいと…
あの子が泣いちゃうわよ。」
「は?」
「はいはい、じゃあね。おやすみ~。」
最後はもう追い出された。
誰にでも優しいって…
そんなこと言われても。