私のファーストキスもらって下さい。




「嘘だぁ~、顔赤いもーん。」



「あ、赤くないもんっ。」




えみってば、絶対私をからかってるー。


と、その時だった。


ドアをノックする音。




「あれ?何だぁ、元気じゃん。」



「あ、お兄ちゃん。おかえり~。」




仕事帰りの誠二くんが部屋に入ってきて、いつもみたいにえみのベッドに寝転ぶ。



わぁ…どうしよ。
お昼、あんな電話の切り方しちゃったから恥ずかしいよぉ。。




恥ずかしくて俯いていると、




「鈴ちゃんも、すごい心配してたんだからな。なぁ?」



「え、あ、うん。。」




返事しながら、誠二くんを見ると……っ!



優しく笑ってくれたと思ったら、ちょっと意地悪にニヤッと笑った。



あ、お昼の事…やっぱり分かってるっ/////



顔が赤くなるのを隠すため、私はモコモコクッションを抱き締めた。




ーーーーーー




それから、えみんちで一緒に夕ご飯をご馳走になることに。なんと、すき焼き!!




おばさん達がまだ旅行から帰ってきてないから、用意は私と誠二くん。




えみは、というと…




「あ~、コンビニ行ってこよっかなぁ~。」




なんてわざとらしく言って、そそくさと家を出ていった。



えみが気を利かせて、私と誠二くんを2人きりにしてくれたみたいだけど…




「……」



「……」




何となく、沈黙の時が流れるキッチン。


誠二くんが人参を洗う水の音と、私が白菜を切るザクザクという音だけが聞こえるだけ。



えみのばかぁ。。



でも、
ちょっと気まずい雰囲気を先に破ってくれたのは、誠二くんだった。






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