私のファーストキスもらって下さい。
「鈴ちゃん、こっち向いて。」
「え?…………っ。」
ーーーーーパクッ。
横を向くと、差し出されたものを反射的に口に入れちゃった私。
食いしん坊みたい。
「いひご?」
口に入れたのは、酸味が程よくてすごく甘いいちごだった。
ちょっと大きくて口の中がイチゴでいっぱい。
「フフ、美味しい?」
「うん♪すごく甘い。」
「そ、良かった。スーパーですごい美味しそうだったから、つい買っちゃって。」
誠二くんはそう言って笑うと、また1つ洗って自分もパクッと食べた。
「んっ!甘っ。」
無邪気な笑顔で隣の私を見下ろした。
ふわっとイチゴの甘酸っぱい香りがした。
そして、お互いの目が合う。
誠二くんがちょっと濡れた指先で、そっと私の頬に触れた。
ドキッと胸が跳ねる。
「ごめん、昨日の夜寝れなかったんだろ?」
「え、何で?」
誠二くんは眉を下げて困った表情でそう私に聞いた。
何で分かったの??
「目の下ちょっとクマ出来てるし、それに…
鈴ちゃんの事だからそうじゃないかと思ったんだよ。」
そう言って、今度は困ったように笑った。
私はその笑顔に結構弱い。
それに、誠二くんには敵わないな…だって私の事なんでも分かっちゃうんだから。
「早紀さんと…話、できた…?」
恐る恐る訊ねてみた。
なんか、聞きたいような聞きたくないような気分だよ。。
「うん。アイツとは、友達に戻った。」
“まぁ、そんなすぐに元通りにはなれないかもしれないけど…”そう続けた誠二くん。
“友達に戻る。”
それがどれだけ大変な事なのか、きっと私には分からないかもしれない。
早紀さんが本当にそんな簡単に割りきれる事が出来たのか…そう思うところもあるけど、でも
ホッとした。
「ホッとした…?」
「もう、何で分かっちゃうの?」
「だって、鈴ちゃんの事なら俺なんでも分かっちゃうよ。」
「えー、私だって誠二くんの事なら何でも分かるもん。」
何だか悔しくて、私は対抗してそう言い返してみた。