私のファーストキスもらって下さい。
すると、誠二くんは意地悪な顔をした。
あ、何か嫌な予感。。
「ふぅ~ん…そっか、鈴ちゃんは俺の事何でも分かっちゃうんだ。」
「う……うんっ。」
あ、ほら。今だって何か企んでる!
分かるんだからね、私だって。
「じゃあ、今俺が何したいか…分かる?」
「え?今?」
誠二くんは余裕な表情で頷いて見せた。
ええ、誠二くんが今何したいか?
何だろう。
あ、今日はすき焼きだから…
「ビール飲みたいの?」
「ブブー。」
ええー。。
そんなの分かんないよー。
誠二くんの事、何でも分かるって言っちゃったけどそれはこういう意味じゃなくって…
「お、お風呂に入りたい…?」
「ブブー、時間切れ。」
「もー分かんないもん。誠二くん意地悪だ。」
膨れた私を楽しそうに見つめると、誠二くんは“意地悪な俺、嫌い?”って聞いてきた。
私は膨れたまま、顔を横に振る。
「俺、今鈴ちゃんのこと、ぎゅってしたい。」
誠二くんはそう言って、私が何か言う前にグッと腕を引き寄せられ…ぎゅっと抱き締めた。
ちょっと強引な誠二くんにドキドキした。
心臓バックバクなの、バレちゃう。。
「はぁ、昼からずっとこうしたいって思ってたんだぞ?鈴ちゃんがあんな可愛い事、電話で言い逃げしたから。」
「え、あ…はい。。ごめんね、つい。」
だって、思ったことそのまま口から出ちゃったんだもん。へへ。
「せ、誠二くんっ、用意しなきゃ。
えみ、帰ってきちゃうよ。」
「え~…もっとこうしてたい。」
さすがにこんな所、えみに見られちゃったら恥ずかしいから軽く身をよじるけど、離してもらえない。
私だってこうしてたいけど…
「あ、そうだ。」
誠二くんがパッと離れた。
何か思いついた?
ぽーっとする私に誠二くんは、キュン死にしてしまいそうなくらい甘い声でこう囁いた。
「ぎゅってしたから、次…キス、する?」
はい。一旦思考停止。