私のファーストキスもらって下さい。




その日、学校へ行った私達は…




「どういうこと?」



「何でこんなに噂が広まってるの…?」




えみに向けられる好奇な視線とコソコソ話。


何故か学校の至るところで、えみの1年前のあの先輩との話が広まっていた。


何で今頃になって…




「先輩、彼氏いたことあるんですかー?」



「あるわけないじゃーん、あははは!!」




完全にえみの事をからかって楽しんでるのは、1年の女子達。



信じらんない!!


隣のえみを見ると苦笑いを浮かべていた。


必死に泣きそうなのを我慢してるのが、私には分かった。


そんなえみを見て、私は胸が潰れそうなくらい苦しくなった。




「ちょっと!そういうの、やめなさいよ。」




私は堪らず、その子達に向かって怒った。


誰かに怒った事なんてあんまりないけど、我慢できなかった。



でも、1年の子達はちょっと不満そうな顔をして…




「吹雪先輩、自分がモテるからって偉そうにしないでくださーい。」



「そうそう。」




この子達、なんなの?
本当に可哀想な子達だよ。




「ちょっ…と、」



「鈴、いいから。行こ。」




えみに止められて、私は黙った。


もうやだ。
私の悪口だったら、いくらでも受けて立つ。


でも、えみの事を悪く言うなら黙ってられないよ。




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