私のファーストキスもらって下さい。





「おい、えみ。何だよ……って、鈴ちゃん?」



「せ、誠二くんっ??」




再び戻ってきたえみの隣には誠二くんが。


ど、どうして??


テンパる私にえみは…




「お兄ちゃん、鈴送ってってあげて。
私のせいで暗くなっちゃったから。」




そう言って私の前に誠二くんの背中を押す。


ずいっと押された誠二くんは、何だか不思議そうな顔をしたけど、でもすぐに…




「ん。鈴ちゃん、送ってくよ。」



「え、あ、うんっ。。」




そう笑顔で言うと、な、なんと私の手を握って歩き出した。



慌てて歩き出した私は、えみを振り返ると…





「泣いちゃったお詫びだから~。」




なんて言ってウインクした。



うぅ~。。
何かえみに気使われると恥ずかしいよ~。




でも…ありがと。



ちょっと前を私の手を握って歩く、誠二くんの背中を少し赤くなりながら…見上げた。





ーーーーーーーーー………




「……」



「……」




えみん家から私の家はそんなに離れてない。



その道のりを二人ともゆっくりと歩いていた。




二人とも何も話さない。
でも、その沈黙も何だか心地がいい。




暫くそうして歩いていると、たまに二人で会って話していた小さな公園の前を通りかかった。




夕飯時だから誰もいない。




「…あ、あの…



「ちょっと寄り道してい?」




思わずビックリして、誠二くんを見上げた。




「やだ?」



そんな私の顔を見て、そんな風に聞いた誠二くんに私は必死に顔を横に振った。



嫌なわけないじゃん。
だって、私も今…同じこと言おうとしたんだから。



以心伝心…///////?




「ベンチ座ろ。」



「うん。」




街灯の下にある木のベンチに二人で並んで座った。








< 163 / 171 >

この作品をシェア

pagetop