私のファーストキスもらって下さい。




「今日、満月だなぁ。」



「あ、本当だぁー。」




誠二くんが空を見上げた。
私もつられて見上げる。



綺麗な満月で、雲も何もない綺麗な月夜。



いつもなら街灯の明かりだけだと頼りない明るさなのに、今日はお月さまのお陰で不思議な明るさ。



ホントに綺麗な月夜…




ーーーーーーチュッ。





え?



お月さまに見とれていた私は、不意に頬っぺたに感じた感触に一瞬何が起きたのか分からずに固まっていた。



えっと…?



あれ?今のって…



何となくまだ柔らかい感触が残る頬っぺたに触れて、隣の誠二くんの方へ向いた。




「横顔が可愛かったから、つい。」



「ふぇ?」



「やっと鈴ちゃんにキスできた。」



「////////」




いたずらっ子のような笑みで誠二くんは真っ赤になって固まる私を見つめた。



き、キスっっ!!


頬っぺたにキスされた!




「フッ…ごめん②。ちゃんと、
こっちでファーストキスもらっていい?」




誠二くんは優しい目で見つめたまま、そう言って私の唇を指でなぞった。



ただそれだけで一気に私の体中がドクドクと熱くなった。




私は無意識のように頷いていた。




誠二くんはゆっくりと私の腰を引き寄せ、
そっと唇を重ねた。




その柔らかい感触は一度離れたかと思うと、またすぐに私の唇に落ちてきて…どんどんと蕩けるように甘いものに変わっていって……




きっと私は一生忘れないと思う。
月明かりの下で交わした…
この甘いファーストキスを。





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