私のファーストキスもらって下さい。
高校受験、初めてこんなに勉強してる。
受験生なんだから当たり前だって、わかってるんだけどね。
「鈴、お兄ちゃん、就職決まったって。」
「ほんと?わぁ、良かったね!
じゃあ、お祝いだね♪」
昼休み、教室でお弁当を食べながら
えみからの報告。
誠二くん、就職決まったんだ。
良かったぁ。
ホッとしてる割には、何故かあんまり喜べない私がいた。
…………あんまり、会えなくなっちゃうな。
どんどん、誠二くんとの距離が離れていってしまう気がして、素直に喜べない。。
「なんかね、結構おっきい会社なんだって。
早紀さんもいっしょの会社の決まってるらしいしー。」
えっ………
彼女さんも………?
「はぁー、あとは私らだけだねー。」
「………」
「鈴~?」
途中から、えみの声なんて全く耳に入ってこなかった。
えみが不思議そうに私を呼ぶ声ではっとする。
「そ、そうなんだ。彼女さんも一緒の会社ってすごいね。」
「その会社の知り合いのお偉いさんからずっと、声かけられてたんだって。すごいよね~。てか、早紀さんってお金持ちなのかな…てことは兄貴、逆玉の輿!?」
ご馳走食べ放題~とか興奮しているえみをぼーっと見つめながら、私は思っていた。
大人な世界だ…
高校受験で大変とか勉強やだとか言ってる自分がなんだかすごく…子供に思えた。
そうなんだよね…結局はそこ。
誠二くんは大人で、彼女さんも大人で、
私はまだまだ子供なんだ。
涙が出そうになった。
ほら、すぐ泣いちゃう。
こんなところが子供。