私のファーストキスもらって下さい。
色々回って、悩んで…
やっとのことでプレゼントを買った。
ちょっと大人の雰囲気なショップだから、
何だか恥ずかしかった。
でも、店員さんは中学生の私でもしっかり接客してくれた。
「プレゼントですか?」
「は、はいっ/////」
「大切な方へですよね?」
「え?」
にっこり笑った30代くらいの女の店員さん。
どうして分かったんだろ。
「選ばれてた時、すごく真剣な表情だったので…きっとそうじゃないかなと思って。」
「いつも私を見守ってくれてる人に…」
いつも優しくて、心配してくれて、困ってたらすぐ助けてくれてる大切な人。
「きっとすごく喜んでいただけますよ♪」
「ありがとうございます…////」
とってもキュートな笑顔で言われて、思わず照れちゃった私。
こう言ってもらえると、ちょっと自信がもてる気がする。
そして、優しい店員さんにお礼を言って拓さんのところへ戻った。
「買えたか?」
「うん!」
「あー腹減った。メシ食うぞメシ!」
「拓さんの奢り?」
「さすがに俺が出す。お前も一応女だしな。」
「一応ってどーゆー意味ですかー?」
拓さんとそんな言い合いをしながら、フードコートへ入ると…
え、何でいるの…
「あれ?拓さん?…と、鈴ちゃん?」
「よぉ、誠二!久しぶりだな。」
誠二くんとばったり会ってしまった。
一人かなぁ…
なんて思ってたら、
「ちょっと誠二!電話出なさいよ。」
「あ、わり。気づかんかった。」
ちょっと機嫌悪そうに歩いてきたのは、周りにいた男の人が思わず目で追ってしまうくらい…美人な女性。
誠二くんの彼女だ………
いっきに気持ちが荒む。
「誠二、もしかしてそちらさん…」
「あ~、一応彼女の早紀。」
「一応って何よ。あ、初めまして早紀です。」
拓さんがチラッと私を気にしながら聞くと、
面倒くさそうに紹介する誠二くん。
…ちょっと不満げな顔をしてから、笑顔で挨拶してくる彼女の早紀さん。
会いたくなかった。
早く、この場から離れたいよ。
私は居心地が悪くて、俯いてずっと下を見ていた。
その間にも誠二くんは早紀さんに拓さんを紹介してあげていた。
「拓さん、なんで鈴ちゃんと?」
「買いたいもんがあるってんで、付き合ってんだよ。ま、デートでもあるかな。」
「ふーん。てか拓さんじゃ、鈴ちゃんと親子に見えるんだけど。」
「鈴ちゃんって、えみちゃんと一緒にいる子よね?」
俯いてる私に向かって、早紀さんが話しかけてきたのが分かった。
ホントは話したくないけど、ここで無視するのもできないし。
仕方なく私は頷くだけ。
「えみちゃん、いつも可愛い友達といるなぁって気になってたの。会えて嬉しい。今度、えみちゃんも一緒にお茶しに行こーよ。」
早紀さんってあの花火大会の事があって、
すごく我が儘で嫌な人だと思ってたんたけど…
こうして話をすると、イメージが変わってくる。
「早紀、鈴ちゃんとえみ、受験生だっつーの。お前のお茶に付き合ってたら、勉強できないだろ。」
「なんでよ。息抜きになるじゃない。ねぇ?」
サバサバしてて、気取った感じがなくて、
すごくフレンドリーで、頼れるお姉さんみたいで…
嫌いになりたいけど、嫌いになれない人。
こんな風に思いたくないけど、
誠二くんとお似合い…だよ。。