私のファーストキスもらって下さい。




「好きな人に言ってあげたら?
絶対鈴ちゃんのこと好きになるよ。」



誠二くんなんだけどな。


それを誠二くんに言われちゃったら、
寂しいじゃん。



「誠二くんは、何してるの?…イブだし、
さ、早紀さんとデートじゃないの?」



なるべく、自然体…にできてるよね?



「あー、あいつね、今海外にいる。」


「え?海外っ?」


「向こうでパーティーに
出なきゃならないんだと。」



って、素っ気なく言う誠二くんが何となく寂しそうな感じがするのは気のせいかな…。



「ま、彼氏ほったらかしのあいつなんか、放っておいて…鈴ちゃんは何してんの?」


「私は、新しいノートを買いに。
でも、出てくるんじゃなかった。」


「何で?」


「だって、カップルばっかりなんだもん。」



私が膨れて言うと、誠二くんは“たしかに”なんて言いながら笑った。


つられて私も笑った。


周りはカップルだらけだけど、ノート買いに来て良かった。


…誠二くん会えたから。



「俺も暇だし、鈴ちゃん。」


「?」


「たまにはデートでもしよっか。」


「・・・」



私は、固まってしまった。
だって今、誠二くん何て言った?



「あれ?鈴ちゃん?やだ?帰って勉強する?」



黙ったままの私を見て、誠二くんは気を利かせて尋ねてきた。


私は、慌てて頭をフルフルと横に振った。



「寂しいお兄さんを慰めると思って、
デートしてください。」



そう言って、ウインクする誠二くんにまた見惚れた。


せ、誠二くんとデート…恋人じゃないけど。


ヤバイよぉ…


嬉しすぎるよぉ~…/////。










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