私のファーストキスもらって下さい。
初恋
私の初恋は誠二くん。
この気持ちに気づいたのは、中学入って初めての夏休みだった。
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中学1年の夏休み、小学校のときとは何だか違ってすごくワクワクする。
「鈴~、ホントに勉強するの?」
「うん。だって、終わらせてから、思いっきり遊んだほうが倍楽しいじゃん♪」
「ん、うーん。」
夏休み始まって、まだ3日。
えみの部屋で駄々をこねるえみを説得しながら、夏休みの課題に励んでいた。
嫌なものは先に終らせたほうがいいじゃん。
「ねぇ、鈴~。」
「何?」
「なんかお腹すかない?」
えみ、今まだ10時半だよ?
まったく、この子は。
「じゃあ、今日数学の課題終わったらアイスおごってあげるよ。」
「ホント!?頑張る!」
こうして、クーラーのかかった部屋で黙々と勉強していた私達。
「終わったー!」
「鈴~、早すぎ。」
「えみ、途中から寝てたじゃん。」
「にゃは♪先に下降りてて。お母さんがお昼ご飯、用意して出掛けてると思うから。」
「了解しました♪」
えみに促されて、私は一足先に1階へ降りた。
自分の家のようにリビングへ行くと、ソファーへ座りこんだ。
はぁ、やっぱりえみん家って落ち着く。
静かな家の中で、私は目をつぶってソファーへ寝転んだ。
夏休み、何して遊ぼ…
「あれ、鈴ちゃん。来てたんだ。」
「あ、誠二く…………」
ソファーの背から覗きこんだ誠二くんに、私は固まる。
だって、お風呂上がり…
上半身は裸で…濡れた髪の毛の先から滴が落ちそうになってる。
ドキッとした。
心臓がすごい早さで動き出してる。
何で?
小さい頃なんてしょっちゅうお風呂上がりなんて見てたのに…
自分のこのドキドキ感に訳が分からずいると、
「鈴ちゃん?どうした、固まって。」
髪をタオルでガシガシ拭きながら、誠二くんはソファーの背もたれに腰掛け、不思議そうに私を見ていた。
言えない。
誠二くんの裸を見て、ドキドキしたなんて。