私のファーストキスもらって下さい。
「ごめんね、待たせちゃって。」
ちゃんといつもみたいに笑えてるかな?
「ん?ううん。ちょうど、早紀から電話だったから。…あいつが、また鈴ちゃんやえみと遊びに行きたいんだと。」
「そっか…」
反射的に胸がぎゅうぎゅうと締め付けられるように苦しくなった。
早く、早く、渡さなきゃ。
「誠二くん、これ。…就職おめでと。
良かったら、受け取ってください。」
両手で握りしめていたプレゼントを誠二くんへ差し出す。
誠二くんはちょっとビックリした顔をしたけど、すぐにいつもの優しい笑顔で受け取ってくれた。
「ありがと、鈴ちゃん。開けていい?」
私が頷いたのを見ると、誠二くんは丁寧にプレゼントの包みを開けた。
誠二くん、どんな顔するかな…
微妙な反応だったらなんて言おう…
不安と期待が入り交じって、ただじっと誠二くんの手元を見つめていた。
「あ、ハンカチ?」
「うん。」
悩んで、悩んで、私が選んだプレゼントは、
柄物じゃないけど、地味すぎないシックな色合いのハンカチ2枚のセット。
毎日でも使ってもらえるものがいいな。
そう考えたら、ハンカチが真っ先に思い浮かんだんだ。
「たいしたものじゃなくて、ごめんね。」
でも、もっとちゃんとしたプレゼントが良かったかも…なんて今後悔しても遅いのに。
「鈴ちゃん。」
俯いてた顔をあげると、誠二くんはフッと柔らかい笑顔で私の頭に優しく触れた。
一気に頭に神経が集中…
ドキドキが止まらない。
「めちゃくちゃ嬉しいよ。毎日使う。」
その言葉を聞いて、ホッとする。
やったぁ。毎日使うって。
喜んでもらえて良かったぁ。
プレゼントもちゃんと渡せた。
これで私、もう充分。