私のファーストキスもらって下さい。
「鈴ちゃん、なんか目が赤くないか?」
「えっ?!」
泣いたのバレちゃう…
「あ、あのさっき急いでたら、階段で足の小指ぶつけちゃって…痛くて涙出たかも。」
ベタな言い訳。
だって、思い付いたのがこれしかなかったんだもん。
でも、誠二くんは信じたみたい。
“あれはまじ痛いもんなぁ”なんてきょうかんしちゃってる。
「鈴ちゃん、これからも遠慮せずに俺のこと頼っていいからな?」
「…うん。」
頼りたいよ。でも…
「鈴ちゃんが困ってたり悩んでたら、俺、ほっとけないから。」
せっかく我慢してるのに。
泣いちゃいそうだから、もうそれ以上優しいこと言わないで、誠二くん。。
「誠二くんって、ホントに優しいよ…。」
思わず、ポツリと呟いてしまった。
聞こえなければ良かったのに…
「鈴ちゃんだからだよ。」
「えっ?」
思わず聞き返してしまった。
見ると、私の一番好きな溶けちゃうくらい優しい笑顔で…
「鈴ちゃんは昔から俺にとって特別だから。」
ずるいよ。誠二くん。
せっかく、決心したのに。
期待させるようなこと言われたら、揺らいじゃうよ。
それから、受験頑張って。と応援を受けて、
私は逃げるように家へ入った。
自分の部屋へと入ると、栓を外したように
涙がどんどん溢れた。
ベットのシーツが濡れるほどに、泣いた。
家に誰も居ないことをいいことに
…声をあげて泣いた。
全部今日で一旦終わらせよう。