私のファーストキスもらって下さい。
頭の中がパニック状態の私がいる中で
そのまま話が交わされていった。
「あれ。お兄さん?やだなー。
困ってたから、ちょっと一緒にいてあげただけだからー。」
なんて思ってもいない事を言い出した酔っぱらいに誠二くんは…
「そう、じゃあ、もう俺がいるんで…
…どっか行って。」
笑って言った誠二くんだけど、声のトーンが怒ってるようで怖い。
酔っぱらい達も察したのか、そそくさと何処かへ行ってしまった。
はぁ…良かったぁ。助かった…
「鈴ちゃん、大丈夫?」
あ、そうだった!
ホッとしてる場合じゃなかったよ。
せ、誠二くんがいたんだ。
そ、それも私、誠二くんの腕の中…!
「だ、大丈夫だよ。あ、ありがと誠二く……」
慌てて離れてお礼を言おうとした私だけど、
頭を優しくコチンとされた。
びっくりして誠二くんを見上げる。
「こんな時間にこんな所を女の子1人で歩かない。危ないって分かるだろ?」
「はい…。」
たまたま通りかかっただけなんだもん。
久しぶりに会えたのに怒られちゃった…
ショック…
「分かればよし。そんな顔しないでよ。
俺も心配だから言ってるんだよ?」
「…うん。。」
頭を撫でてくれた優しい手も、眉を下げて困った顔も…全然変わってなくて嬉しくなっちゃう。
「たまたま仕事で外回りして、帰ろうと思ったら可愛い子がしつこく絡まれてるなって見たら…鈴ちゃんだったから、まじでビックリしたよ。」
「助けてくれてありがとね。誠二くん。」
前髪をかきあげて、ふぅと息をつく誠二くんに見とれる。
だって…めちゃくちゃカッコ良くなってるんだもん。
あ、もちろん、前からカッコ良いよ?
でも、でも、何て言うか…
「鈴ちゃん?」
ぼーっとする私を呼んで首を傾げる誠二くんは
どこからどう見ても…大人の男。
スーツ姿も様になってる。
2年前と違う大人な誠二くんに
またキュンってした。