私のファーストキスもらって下さい。
「ははっ。見事なポカーン顔。」
真木先輩は笑いながら、言葉を続けた。
「告っておいて聞くのもなんだけど、
彼氏いないって噂では聞いたけど…好きなやつとかいる?」
一体誰がそんな情報を流してるんだろう。
まぁ、彼氏なんていないんだけどさ。
「好きな人…」
好きな人…
ずっと好きな人ならいる。
どうやっても、好きが止められない人。
「好きなやつ、いるんだ。」
「…はい。
片想いで、どうしようもないですけど。」
そう。好きで好きでたまらないけど、
どうしようもできない。
どうも出来ない私の片想い。
「だから、嬉しいんですけど、
付き合うのは…」
先輩と付き合うことは出来ない。
誠二くんが好きなのに、先輩と付き合うなんて…
先輩にも失礼だよ。
でも、そんな私の気持ちはあっさりと消されてしまう…
「何も、今好きになれってわけじゃないよ。付き合って好きになってくれればいいから。」
「え、でも…」
「だから、すぐ返事しなくていいから。
待ってる。俺、待つの嫌いじゃないし。」
昼休み、時間とってごめんな。
そういって、先輩は屋上を出ていった。
私はどうしていいか分からず、
しばらくの間、突っ立ったまま遠くの町並みを眺めていた。