私のファーストキスもらって下さい。
「鈴、入んないの?」
「あ、うん。お、お邪魔しますっ。」
玄関の前で立ち止まる私を不思議そうに見つめるえみ。
な、なんか久しぶり過ぎて緊張…。
前は自分ちのように当たり前みたいに入ってたのに…
さっさと入ってってしまうえみを追いかけて、慌てて玄関で靴を脱いでると…
「お、鈴ちゃん。いらっしゃい。」
振り向き見上げると、部屋着姿で昔と変わらない爽やかな笑顔で佇む誠二くん。
あ、あの日…飲み屋街で助けてもらって以来の誠二くん。
「お、お邪魔しますっ。」
「どーぞ。そう言えば、鈴ちゃん久しぶりだよなぁ、うち泊まるの。」
「う、うん。」
「ゆっくりしてって。」
そう言って、わざわざ私の前にしゃがんだ誠二くんは優しく微笑んで私の頭を撫でた。
ーーーーーーーきゅん。。
はい、早速1きゅん。
玄関入って1mで1きゅん。
「せ、誠二くん。」
「ん?」
「あの、その、いつだったか…街中で助けてくれてありがと…。すごく助かったよ。」
俯いて、靴紐を意味もなく結び直したりなんかして…改めてお礼を言った。
あの時、ちゃんとありがとって言えなかったからさ。
「俺、びっくりしたよ。絡まれてる可愛い女子高生がまさか鈴ちゃんだったなんて。…一瞬、俺でもナンパしちゃうところだったぞ。」
えっ!?
誠二くんにナンパっ!?
「ふふ。ま、鈴ちゃんがとにかく無事で良かったよ。」
「う、うん。」
嬉しすぎて、何回靴紐を結び直してるんだろ。
もう、モジモジし過ぎ、私!
「あ、それと鈴ちゃん、ちょっとスカート短いぞ。パンツ見えちゃうぞ?オジサン、目のやり場に困るべ?」
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まさかの誠二くんの指摘に真っ赤になって固まってしまった私。
「鈴ー?なにしてんのー?」
と、このタイミングでえみがあまりにも遅い私を玄関まで迎えに来た。