私のファーストキスもらって下さい。
「ちょっと、お兄ちゃん!ソファーの上のクッサイ服片付けてよ。」
「臭くねーよ。お兄様の服はフローラルの香りしかしないんだよ。覚えとけ、妹。」
「ハッ。今に加齢臭で悩むことになるよ、
覚えときなさい、兄貴。」
ぽけーっとする私をよそに兄妹トークが行き交う。
「鈴ー?何赤くなってんの?熱ある?」
「え?な、ないよ。何でもないっ。」
気づくと誠二くんはもうリビングに行ってしまっていて、私を見つめるえみだけ。
慌てて言い訳すると、私はやっと靴を揃えてから玄関を上がった。
「鈴ちゃん、いらっしゃい。」
「お邪魔します、おばさん。」
キッチンに立つえみのお母さんに挨拶すると、
何だかやっぱりホッとする。
「今夜はいっぱいご馳走作るから、楽しみにしててね。」
「はい。お腹ペコペコですっ!」
今日、えみんちに泊まりにきて良かった。
やっぱりえみんちはホッとする。