私のファーストキスもらって下さい。




「おいしー♪♪
やっぱりおばちゃんのオムレツ最高っ!」



昔からだけど、えみんちの夕ごはんはホントに豪快!


豪華っていうか、豪快!
おかずが山盛り♪
それでもお皿が空っぽになるってことは、
おばちゃんの料理はやっぱり美味しいってことだよね。




「えみぃ、しあわしぇー。」




オムレツを頬張りながら、えみに訴える。
でも、えみは何だか落ち着かない様子。


むむ、もしかして高原さんにデートを誘われたことでかな??




「鈴ー。。」




困ったえみも可愛い。


ニヤニヤしちゃう私は必死に普通を装うけど、
えみは拗ねちゃって…




「そんなに食べたら私みたいになっちゃうからね。真木先輩に愛想つかされちゃうよ。」




えみが仕返しとばかりに言ったその言葉に私は固まってしまった。


えみ、今言わなくても…っ




「鈴ちゃん、彼氏できたの?」




聞こえてなくて、このまま話が逸れてくれれば…なんて私の願いは虚しく。



誠二くんが飲みかけていたビールをテーブルへ置いて私に聞いた。



その表情はびっくりしたような、何か複雑な感じに見えた。




「えっと…はい。」




私に彼氏が出来て、誠二くんはどう思った?


ちょっとは気にしてくれた?


嫉妬まではないにしても、妹を取られたみたいな気持ち…ちょっとは感じてくれたかな…。



それからおばさんやおじさんに根掘り葉掘り聞かれたりして…



その間、誠二くんは黙ってビールを飲んでいて私はちょっと居心地悪く感じた。



話は流れでそのままえみの好きな人の話になって、耐えきれなくなったえみは自分の部屋に逃げちゃったから私も追いかけた。



期待しちゃだめなんだけど、誠二くん…



『鈴ちゃんには彼氏はまだ早いよ。』



って冗談でも言ってよ。








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