私のファーストキスもらって下さい。
「…ふぅ、ラブラブかぁ。」
えみんちの洗面台の前でぽつりと呟いた。
歯磨きをしようと思って降りてきた。
「ラブラブって彼氏と?」
「え」
突然聞こえた声にびっくりして振り返ると、
そこには髪をタオルでゴシゴシする誠二くん。
き、聞かれちゃった…
「せ、誠二くん、いたんだ。」
「俺も歯、磨こうと思って。」
「あ、私邪魔だったね。」
そう思って、慌てて歯みがきを終わらせて洗面台の前から退こうとした私。
でも、その前に…
「いいよ、退かなくても。ゆっくり磨きな。」
誠二くんは私のすぐ横から歯ブラシをとった。
軽く私の肩に手を置いて。
ふわっとボディソープの香りがした。
わぁ…どうしよ。誠二くん、私の肩に触れてる。
それだけで心臓ばくばく。
「鈴ちゃん…ここ、歯みがき粉ついてる。」
「んっ…///////」
誠二くんが私の顎あたりを親指で拭った。
き、きょわ~~~///////
思わず固まって歯ブラシをくわえたまま、誠二くんの顔を見つめてしまった。
誠二くんは何事もなく歯みがきを始めていた。
そ、そんなドキドキさせるような仕草しないでよ、誠二くん。
「ん?どした?」
赤くなったまま、見つめていた私に気づいた誠二くんは不思議そうに聞いてきた。
昔からそうだけど、誠二くんってほんとにワル。無意識なワル。
だから、私は昔から誠二くんにドキドキさせられっぱなし。