私のファーストキスもらって下さい。
「こうして見ると、やっぱり大人っぽくなったね、鈴ちゃん。」
「そ、そんなことないよ。」
「そりゃ、彼氏もできるよな。」
「・・・」
「どんなやつ?イケメン?ちゃんと、鈴ちゃんのこと大事にしてくれるやつ?」
一気に聞いてくる誠二くんに私はちょっとビックリして返答できずにいた。
すると、誠二くんはチャッチャと口を濯いで首にかけていたタオルで口元を拭うと小さく笑った。
誠二くん?
「ごめん。何かちょっと、ヤキモチかも。」
え、今、誠二くん、何て言った?
「何か彼氏君に鈴ちゃんのこと取られちゃった気分。…はは。」
なんて言って、ちょっと悔しそうに笑う誠二くん。
ーーーーーーきゅん。。
「泣かされたら、俺に言いな?」
「…な、何で?」
ドキドキしながら、聞いてみた。
誠二くんはやっぱり優しい笑顔で、
「“俺の鈴ちゃん、泣かしてんじゃねー”って殴ってやるから。」
なんて言って、頭ぽんぽんした。
ーーーーーーず…きゅーん。。。
心の奥で願ってしまったあの気持ち、
誠二くん…言ってくれた。
どうしよ。胸がキュ~ンってして苦しいよ。
「ありがと。誠二くん。」
「ん。おやすみ。」
「おやすみ…。」
もう一度微笑んだ誠二くんは私の頭をぽんぽんして、洗面所を出ていった。
誠二くん、優しすぎ。
でもでも、“俺の鈴ちゃん”って。
妹って意味だけど、“俺の”って言われた♪
嬉しい気持ちの反面、真木先輩の顔が浮かんで胸はチクッとした。
真木先輩は私を泣かせるようなことはしないと思う。
だって、先輩も誠二くんみたいにすごく優しいから。
だから、先輩にキュンってした。
でも…
でも…
誠二くんが私に与えるキュンはもっともっと、
キュン②するんだ。
やっぱりまだ、先輩への好きは誠二くんへの好きを超えられないよ。