私のファーストキスもらって下さい。




ーーーーーー花火大会。



「鈴、今夜の私は誰にも止められないから。」



「えみ、無理しちゃだめだよー。」



えみはホントに食べるのが好きなんだから。


宣言どうり、えみは本当に出店を制覇する気で
食べまくっていた。



「えみ、私ちょっとトイレ行ってくるね。」


「んー。この辺で待ってるー。」



いか焼きを頬張りながら、片手にはフランクフルトにチョコバナナを持つえみにちょっと笑いつつ、トイレへ向かって歩いた。



その途中、見てしまった。



「ねぇ誠二~、かき氷食べたい。」


「早紀お前、お腹冷えるんじゃないのかよ。」


「だって、お祭り来て食べたくなるじゃん。」



誠二くん、と彼女。
初めて見たけど…すごく綺麗な人。
もちろん大人っぽいし、スタイルよくて美人。
色気があって叶うところなんか何にもない。





ん?



いやいやいや、何張り合おうとしてるの私。




無理無理。



見なかったことにしよ。うん。
えみ待ってるし。



私はササッとその場を離れた。


トイレから出て、えみの元へ戻ろうとしていた私は酔っ払いの学生数人に絡まれてしまった。



「可愛いね。きみ、一緒に花火見よー?」


「と、友達が待ってるので。」


「いーじゃん。俺らと良いとこでイイコトしながら花火見よー!」


「や、やだやだ。」



中学生の力なんてたかが知れてて、
呆気なく腕を掴まれて連れてかれそうになる。



やだやだ、怖いよ。助けて、誰か。


いつも私が困ったときは、誠二くんが助けてくれた。



でも、今の誠二くんには彼女がいる。



悲しくなって涙が溢れるーーーーーーー






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