私のファーストキスもらって下さい。
「雅ちゃん、ホントに可愛いの。」
ちゃんと見てたらすぐ、分かったことなんだ。
雅ちゃんの表情、それに私に対する態度。
ちょっとツンツンした感じ。
分かるよ、だって私も同じ気持ちになることあるもん…早紀さんに対して。
「ちゃんとしなきゃ、雅ちゃんに失礼だよね。
一生懸命恋してるのに。」
「まぁな。でも、同情とかなら…」
「同情なんかじゃないよっ。」
拓さんの言葉を遮った私は、すっかり氷の溶けたお茶のコップを見つめながら話を続けた。
「先輩と別れたくなかったら、ちゃんと雅ちゃんに話すし、負けないように頑張るし。」
「じゃあ、」
「明日、先輩と話すよ。」
「ふーん、そうか。」
「何?拓さん、そんなに私が心配?」
何だか不安げな表情の拓さんをからかってみる。
「べっつにー。お前のこと心配するほど俺だって暇じゃねーのよ。分かったか、ガキ。」
「はいはい、ガキの恋愛に付き合ってもらってすみませんねー。」
ふふん。拓さんたら、照れちゃって。
図星って顔してるよー。
私は、そんな素直じゃないけど優しい拓さんにとびっきりの笑顔を見せた。
拓さんはちょっと呆れたように笑う。
「お前の青春、甘酸っぺぇな。
俺ならさっさと他探すけどな。」
「うるさいなー、いいの。
つらくても楽しいから。」
「あっそー。」
それから暇な2人…年齢差2ケタの私と拓さんは恋バナに花を咲かせた。
って言っても、ほとんど拓さんの自称モテ期武勇伝だったけど。