私のファーストキスもらって下さい。
次の日、昼休みに先輩と屋上にいた。
「昨日はすみませんでした、急に帰ってしまって。」
「いや、用事があったんだし仕方ないよ。」
先輩は優しく微笑んで、私の頭をクシャってした。
その仕草がちょっと誠二くんに似てて、ドキッてしちゃう。
いやいや、違う違う。
今日は私、先輩にちゃんと話そうと決めてるんだから。
しっかり私!
「あの、せんぱ…」
いざ決心して口を開いた私だけど…
「吹雪、明日の放課後、ちょっと付き合ってほしいんだけど。いいか?」
「明日…」
私の言葉を遮って、先輩が訊ねてきた。
明日…って確か…
「明日って先輩の誕生日…ですよね?」
「そう。だから、明日の放課後は一緒にいてほしいかなと思って。…駄目か?」
…駄目か?
そう私に聞いた先輩の目があまりにも優しくて、それにどこか寂しげで、駄目ですなんて言えないよ。
私は笑顔で頷いた。
先輩はまた微笑むと、静かに空を見上げた。
つられて私も空を見上げた。
先輩の好きな“澄んだ青色”の空だった。