私のファーストキスもらって下さい。
「鈴ちゃん、
こんなこと言いたくないんだけどさ。」
言いにくそうに眉を下げる誠二くん。
首を傾げた私に誠二くんは静かに言った。
「女の子に無理やりキスする男なんてはやめなさい。」
そう言った誠二くんの顔があまりにも真面目で…大人な感じで、思わず黙ったまま見つめてしまった。
「こら、鈴ちゃん、聞いてる?」
「聞いてますっ。」
「鈴ちゃん、高3男子ってのはね、鈴ちゃんが思ってるより野獣なんだぞ?危ないんだから、ちょっとは警戒しなきゃだめだよ。」
そうなの?
真木先輩、野獣なの?
「誠二くんも、野獣だったの?」
つい、流れで聞いてしまった。
聞いてしまってからものすごく恥ずかしいことを聞いたんだって気づくおバカな私。
「気になる?フフッ、ひみつー。」
「なにそれー。誠二くんずるい。」
意地悪な笑みを浮かべる誠二くん。
きっと、誠二くんも野獣男子だ。
「とにかく、彼氏くんとちゃんと話なよ?
わかった?」
子供に言い聞かすみたいに誠二くんは私の顔を覗き込む。
昔から変わんない。
「うん。」
頷くと、必ず…
ぽんぽん。。
頭を優しく撫でてくれる。
昔から変わんないこの仕草が、嬉しい。
子供扱いされてるのは分かってるんだけど、
嬉しいから仕方ないんだ。
「よし、んじゃ送るから帰りましょ。」
「え、いいの?用事とか…」
「ないない。というか、鈴ちゃんを一人で帰らせるの心配すぎるし。」
「別に平気だよー。」
私が呑気に答えると、ベンチから立ち上がった誠二くんは屈んで顔を近づけた。
ち、近いっ。。
至近距離の誠二くんの綺麗な顔を真っ赤になりながら、見つめてしまった。
「全く。
ちょっとは自分の可愛いさ、自覚しなさい。」
なんて、優しく柔らかい声で言われて…
私…もう失神しそうです。。