私のファーストキスもらって下さい。
それから、誠二くんの車で家まで送ってもらった。
その車内、すっごく嬉しいことがあった。
「あ、このグループ。」
ラジオから流れてきた音楽。
それは私が大好きなグループの曲だった。
片想いの曲を沢山作ってるこのグループで、
切ないけどハッピーな雰囲気の曲ばっかりで結構聞いてるんだ。
「俺、このグループ結構好きだな。」
「え、ほんと?私も大好きなんだぁ!」
嬉しくなって思わず、運転中の誠二くんにハイテンションで話しかけてしまった。
「ボーカルの声とメロディーが大好きなの。
ヒマな時とかずっと聞いてるなぁ。」
「そうなの?へぇー。」
あ、特に興味なかったかな?
嬉しくてつい…
「俺、アルバム何枚か持ってるよ。」
しょぼーんとしかけたところに誠二くんのそんな衝撃的なお言葉!!
「ほんと??もしかして、最新のアルバム…」
「あるよ。」
「いいなぁ。」
「今度貸したげるよ。」
「え、いいの?」
「鈴ちゃんに特別ね。」
ちょっとした冗談なんだろうけど、
めっちゃ嬉しい!
特別なんて言葉、そんな簡単言っちゃだめなのに。
誠二くんって、ずるい。
「よし、到着。」
嬉しくてボーッとしてたら、もう家の前。
はぁ。
もうちょっと、一緒にいれたらいいのになぁ。
こらこら、贅沢なこと思わない。
気持ちを切り換えて、車のドアに手をかけた。
「誠二くん、送ってくれてありがと…」
「あ、鈴ちゃん、ケータイ出して。」
え?ケータイ?
突然そう言って手を出されて、ついケータイを渡した。
誠二くんは少し操作して、私の方へケータイを差し出して…
「はい。俺の番号とメアド入れといた。」
「ええ!!」
「ええ!?そんな驚く?俺の番号知らないことに驚きだったんだけど。てっきり、えみに教えてもらってるんかと思ってたし。」
返されたケータイを握りしめた。
ど、ど、どうしよ。誠二くんの番号…
「これでいつでもCD貸したりできるだろ?
なかなかえみを中継してってのもな。」
「あ、ありがとう。」
「ん。どういたしまして。」
嬉しくてドキドキしながら、車から降りた。
おやすみを言って玄関に向かおうとした時、
「鈴ちゃん。」
「?」
「彼氏とちゃんと話しなよ?」
「え、あ、うん。。」
「で、俺に報告ね。」
「え、なんで…」
私がきょとんとしたのを見ると、
「心配で気になるから俺が。」
そう優しく笑って言った。
それから、誠二くんは帰っていった。