私のファーストキスもらって下さい。
「誠二くんは一緒に行かなかったの?」
「俺、やっぱり花火は外で見上げた方が好きだし。」
思わず笑ってしまった。
やっぱり誠二くん好きだな。
そういうところ、すごく好き。
え、
あれ?
今私…
好きって思った?
え、え、私…誠二くんのこと…
「鈴ちゃん?」
笑ったり、あたふたしたりの私に誠二くんは不思議そうに覗きこんだ。
「ううん。何でもない。」
「そっか。でも鈴ちゃん、
何で1人?えみは?」
「トイレ行って帰る途中………
ーーーーーードーーーーン。。
あ、
私と誠二くんは同時に空を見上げた。
ちょうど私達が立っていた土手から、真っ正面に花火が上がった。
「今年も始まったなぁ。」
「うん。」
次々と上がる花火に私は見とれていた。
すると、誠二くんは…
「よし、土手下りて川辺で見よう。」
「え、でもえみが…」
「多分、あいつ花火より食いもんだろ。
…ほら、行こっか。」
誠二くんは私の手を取って、土手の階段をゆっくり降りた。
握られた手がすごく熱くて…ドキッとした。
大きな手で包まれて…キュンとした。
「下、石ばっかだから気をつけて。」
下駄の私を気遣ってくれる優しさが嬉しい。
「わぁ、今年のは豪華だね!」
今年の花火はいつも見る花火よりもっとキラキラして華やかに見えた。
きっと、誠二くんと一緒だから。
「鈴ちゃん、ホントに気をつけなよ?」
「何を?」
「鈴ちゃん、可愛いから今日みたいに変なやつに絡まれるかもしれないし。」
か、可愛いっ…………
「ほら、今日なんか浴衣で大人っぽいから
高校生には見えるよ。」
「そ、そっかなぁ/////。」
「そうだよ。鈴ちゃん、
どんどん可愛くなってくから俺心配だよ。」
なんて誠二くんの言葉にドキドキして、期待みたいな気持ちも持っちゃった私はやっぱり…
中1のお子ちゃまで。
「何で誠二くんが心配なの?」
聞かなくてもわかるはずなのに、私のばか。
「だって、鈴ちゃんは俺の大事な妹みたいなもんだから…何かあったら心配だろ?」