私のファーストキスもらって下さい。
「誠二、美条がお前のこと気になるって言ってたらしいぞ。」
「は?何で俺?」
最初は飲み会でダチにそう言われたところがきっかけ。
それから、たまたま飲み会で一緒になった早紀と二人で話したのが始まりだった。
「佑月くんのこと結構タイプなんだ。」
「何で俺?美条ならもっといいやつ…」
「いいの。私、佑月くんの顔が好きだし、
優しいし、いいなぁって思ったの。」
「顔…」
初めてだった。面と向かって、はっきり顔が好きだと言われたのが。
はっきり正直にものを言う早紀に、俺はちょっと面白いやつだなぁと思った。
「私が彼女じゃ不満?」
2人で遊びに行ったりするようになって、初めて一人暮らしの早紀の家にお邪魔した時に、そう言われた。
「俺、束縛されるの嫌なんだけど。」
そう。昔っから、付き合った彼女はほぼ俺を束縛しようとした。
自分だけを見て、自分だけのもの。
それが嫌いで、あんまり長い間続いたこたがなかった。
きっと、早紀も同じだろう。
「束縛?そんなの私も嫌よ。
私だけしか見ないで、なんて鳥肌立っちゃうしゃない。」
早紀は意外にも、というより、思ってた以上にその言葉通りだった。
1日に何回もメールや電話もないし、記念日を忘れてたって怒らないし、デートよりダチをとっても私と友達どっちが大事なの!とか聞いてこないし。
かと言って、冷めた付き合い方でもない。
「誠二が側にいると、やっぱり落ち着く。」
なんて言って、甘えることだってたまにある。
俺だって、早紀といると気が楽だった。