私のファーストキスもらって下さい。
そうだよね。
あは、わかってるじゃん。昔から。
「お兄ちゃんは心配性過ぎますよー。」
「お、いいね。
鈴ちゃんもお兄ちゃんって呼ぶ?」
呼ばないよ。
ずっと、誠二くんって呼ぶよ。
だって、もうお兄ちゃんみたいになんか見れないもん。
私、
誠二くんが好きだよ…
初めて人を好きなったよ。
私の初恋だよ、誠二くん。
どうしよう、諦めなきゃだよね。
「あいつ、見えたかな。」
だって、彼女さんいるもんね。
今だってほら、ワガママな彼女さんのこと思ってるもん。
幸せだよ、彼女さん。
ワガママ言ってもこうして思われてるもん。
「鈴ちゃん、そろそろ行こっか。
何か食べてから、えみ探して帰ろ。」
「うん。」
すぐには無理だけど、いつかは諦めよう。
だけど、それまではこっそり好きでいます。
「誠二くん。……」
「ん?」
「ううん。なんでもない。」
ーーー『………好き。』
私はその背中に心の中で囁いた。