私のファーストキスもらって下さい。
「ねぇ、最近よくスマホいじってるわね。」
「ん?そうか?」
「浮気?」
「ばか。」
早紀のマンション。
ソファーに寝転ぶ俺にコーヒーの入ったカップを手に早紀が言う。
冗談っぽく言っても、少し威圧的。
「鈴ちゃんだよ。」
「鈴ちゃん?
鈴ちゃんって、あのえみちゃんの親友の。」
「そう。鈴ちゃんにCDとか貸してあげてんの。趣味が合うみたいで。」
「ふぅ~ん。」
チラリと見ると、隣でコーヒーを飲む早紀は特に興味もなさそうにしていた。
まぁ、別にな。
やましいこともないし。
うん。
ただ、思うのは…
「最近、休み合わないな。」
「そうね。」
「寂しくないわけ?俺に会えなくて。」
「ん~。」
カップをテーブルへ置くと、寝転ぶ俺に覆い被さってきた早紀。
焦らすように笑って、言った。
「寂しいわよ。でも、誠二はいつも私の事、想ってくれてるんでしょう?だから、平気よ。」
そして、チュッと軽く唇を重ねた。
そのまま、風呂へと立ち上がった早紀の背中を見ながら思っていた。
ーーーーー俺はお前の支えになってるのか?