私のファーストキスもらって下さい。
それなのに、俺は…
「せ、誠二くんっ、寝ちゃった?」
あんなに小さかったあの子が頬を赤くして見つめてくる姿を可愛いと感じてしまった。
どういう事?
俺、おかしいかも…
自分のなかの不思議な気持ちの変化に気づいたのは、早紀からの電話があった次の日だった。
ーーーーーーーーーー
「お兄さまとデートしたくないか?」
休みで特に用事もなかった俺は、並んで朝飯を食ってる妹達に声を掛けた。
たまには兄のありがたみを思い知らしめとかないとな。
「鈴、どうする?」
分厚い食パンにかぶりつきながら、えみが鈴ちゃんに振る。
「せ、誠二くんがいいなら…」
ウインナーをくわえたまま、
控えめな鈴ちゃん。
「じゃあ、10時出発な。」
二人にそう告げてから、俺は2階の部屋へ上がった。
「ふぁ…ねみぃ。」
部屋に入ってベットに座ったが最後、
俺は再び睡魔に負けてそのままベットに横になった。
大丈夫、大丈夫。
ちょっとだけ、寝るだけだし。
とか思いつつ、寝つきのいい俺はストンと夢のなかに落ちた。
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『……じくん………誠二くん。』
ん?誰か呼んでる?
夢見心地で俺は、うっすら目を開けた。
あ…鈴ちゃんかぁ。
私服姿の鈴ちゃんがいた。
「誠二くんっ、寝ちゃった?」
「ん~…鈴ちゃんも、おいで。」
そのまま鈴ちゃんを自分の横に引き込んだ。
サラサラの髪が顎のあたりをくすぐる。
ふわっといい匂いがした。
フローラルみたいなセッケンの香りのような優しいコロンの匂い。
「鈴ちゃん、いい匂いするな。
…俺、この匂い、好き。」
そんなことを呟いてから、気づいた。
おい、俺…何言ってんだ?
てか、何してんだよ。
ぼやっとした意識がはっきりした。
気づいた時の状況…
それは、鈴ちゃんを抱き枕にしている…
鈴ちゃん、心なしか固まってる…
やばい。怖がってる…
俺は落ち着きながら、鈴ちゃんを腕の中から解放した。
鈴ちゃんは小走りに部屋から出ていった。