私のファーストキスもらって下さい。




それはある日、えみんちにお泊まりに行った時のこと。




ーーーーーーーー




「鈴、ちょっと話したいことあるんだぁ…
今日、泊まりに来ない?」



「話し?うん、いいけど、今でもいいよ?」




放課後、いつにもなく真剣な表情のえみがそう言って私の席にやってきた。




「うん、まぁ、そのね、今でもいいような気もするんだけど、えーっとね、」




どうしたんだろ。
すごく迷ってるようなえみの様子に、何だかすごく心配になって思わず…




「わかった。今日、泊まりにいく!」




そう笑顔で答えると、えみはホッとしたように笑って“じゃ帰ろ!”と荷物を取りに行った。



えみがあんなに真剣な表情で話があるって…



高原さんのことかなぁ…
まさか、この恋諦めちゃうとか!?



とにかく、えみはすごく悩んでるに違いない。




今日はじっくり話を聞こう。うん。




と、心の準備を整え、えみと学校を出た。




「そう言えば、お兄ちゃんとメールしてるんだって?」



「ふぁい!?」



「え、そんな驚かなくても。」



「う、うん。」




一旦、うちに着替えを取りに寄った時…何気なくえみが聞いてきた。



なんで、えみがそれを?




「お兄ちゃんが、“この顔文字ってどういう時使うんだ?”っていきなりメール見せてくるから、何かと思ったら鈴のメールだったから。」



「そ、そっか。」



「鈴、」



な、何?
もしかして、鈍いえみも勘づいちゃった??




「お兄ちゃん、オッサンだから少しは手加減してあげてね。顔文字は、解説つきで。」



「ふ、ふふ。わかったっ。」




良かった。バレてない。
ホッと胸を撫で下ろす。



えみに打ち明けたい。
でも、打ち明けていいのか、悪いのか、イマイチ分かんなくて話せないでいるこの状況。




何とかしなくちゃなぁ…。




< 98 / 171 >

この作品をシェア

pagetop