青の衝動
【CODE BLUE】




朝、目が覚めるといつもどうしようもない罪悪感がして物心がついた時から気持ちのよい朝を迎えたことがない。
二度寝防止、という今ではいいのだが目覚めのよい朝を体感してみたい。

僕朝については描写はいらないほど平凡である。
起きて、支度をしてオンボロアパートを出て仕事場はスクーターで15分といったところだろうか、通勤の道についてはこんな僕でも少しばかりこだわりがある。

自分自身では平凡に対する小さな抵抗のつもりなのだが、少しばかり聞いて欲しい。

交通量の多い大通りは混雑を避ける意味で避けるようにしている、そんなわけで僕は旧都市の廃工場地帯を抜ける事がしばしばある。

新都市で生まれて育った僕にとって、旧都市の技術、文明は興味深いものばかりでこの朝の時間はそれなりに好きだった。


新都市と旧都市の区別の定義ははっきりしないものの、そこには漠然とした違きる僕にもそれは納得出来る、いや今だって十分に成り立つことができる物ばかりだ。


「何故、捨ててしまったんだろう。」


僕は誰に言うわけでもなくポツリと漏らした。
この都市は捨てるには実に惜しい。

そんなことを思いながら、廃工場地帯の一角を通り過ぎた所で視界の中に白い人型が映り込んだ。

廃工場地帯に人がいるなんて、珍しい。
通り過ぎてしまうには惜しい、好奇心は僕を煽るように掻き立てる、バイクを止め後ろを振り返るけれど、そこには何もいなかった。
< 9 / 12 >

この作品をシェア

pagetop