ドッグエンド症候群


柴犬の杏は五年前に近くの道に捨てられていた捨て犬だ。


それを宮野家族が飼って、今ではすっかり宮野家の住人になっている。


家族円満で喧嘩はめったにない。


「ねぇ!パパ!!今度杏も一緒に海に行こうよ!!」


「おう!そうだな。だけどな、真朝。今とても危険な病気が流行っているから随分先だぞ。それでもいいか?」


「うん!杏が病気になったらイヤだもん!!」


そう言って真朝は柴犬に抱きつく。


柴犬も嬉しそうに尻尾を振る。


これが宮野家のごく普通の休日の光景だった。


真朝と柴犬が戯れ、それを眺める両親。


それが賢一郎にとっては理不尽に怒られたことや会社での嫌なことを忘れさせてくれるとてもリフレッシュ出来る日。


毎日が日曜日だったらいいのにと冗談ぽく、笑いながら言っているほどだ。


そして真朝と柴犬が戯れ始めて数10分後、柴犬に異変が起き始めた。


それにいち早く気がついたのは真朝だった。




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